いつ起こるかわからない災害にどう立ち向かう?地方公務員(和歌山県)として三十数年土木系防災に携わってきた著者が、その経験と研究の成果をまとめる。
一刻を争う現場にあって、どう判断し行動し伝えるか。宇都宮大学大学院に社会人枠で入学し、仕事をしながら「災害対応マネジメント」を再考。組織のあり方や現地指揮者の意思決定について、具体的な事例をふまえ考察。 |
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雨が降ったら仕事が始まる
地方公務員の水防業務
太田 和良 著 |
A5判 206ページ 並製 |
定価
(本体2,000円+税) |
ISBN978-4-86249-466-5 |
2025年 4月 刊行 |
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目次
序 章 自然観察と私の知る防災
第一章 水防って何?
一.消防団の仕事と県の役割
二.雨が降ったら大型土のう
三.情報の確度と出動の覚悟
四.時間八十ミリメートルの雨
五.上へ、東へ 川の流れと自由研究
第二章 私の経験した災害対応
一.次の一手は何する?
二.阪神・淡路大震災
三.東南海・南海地震特措法
四.紀伊半島大水害
五.東日本大震災のその後
第三章 災害発生、組織はどう動く?
一.紀伊半島大水害を振り返る
道路の不通と集落の孤立
災害対策本部の対応状況と道路被災箇所の把握
二.公共土木施設災害復旧における現場対応の課題
建設部長経験者へのアンケート調査
災害時、建設部の立場が変化する
三.東日本台風と栃木県の対応
栃木県と和歌山県を比べると
東日本台風による栃木県の被害
土木事務所長へのアンケート調査
栃木県と和歌山県 調査結果の共通点と相違点
四.現地指揮者の意思決定過程と権限委譲
権限移譲の実態
災害時、組織は有機化する
和歌山県恋野橋の被災事例から
現場での意思決定と組織間の調整
五.組織間関係論と組織行動論
六.権限と責任
第四章 災害対応マネジメント
一.負担法で対応しきれない事例
二.階層型組織における組織行動
三.組織の有機化
四.自律した組織と個人の時間展望
五.災害対応マネジメントへの提案
第五章 公務員って何?
一.教員事始め
二.災害対応マネジメント問答
マネジメントシステム
土木事務所と振興局建設部
県内で災害が発生した場合
災害派遣
組織論と組織間関係論
行動経済学と組織行動論
権限委譲
災害対応時に必要な五つの要素
三.地方公務員土木職問答
県庁職員としての仕事のやりがい
県の予算
一般行政職と土木職
仕事と学生の両立
事務職と技術職
知事部局と県議会
民間感覚と行政
公共の福祉と利益供与
第六章 防災を研究する
一.査読論文って何?
二.学会って何?
三.研究って何?
四.大学院って何?
五.博士課程って何?
終 章 無いことを嘆くより、有るものを使え
用語解説
参考図書
参考文献 |
太田 和良 (オオタ カズヨシ) (著)
1963年和歌山市生まれ。87年に大阪大学工学部土木工学科を卒業し、和歌山県庁に土木職として採用される。河川、道路、港湾等の公共土木施設の整備に携わる中、一貫して防災業務に関わってきた。2021年に宇都宮大学大学院地域創生科学研究科博士後期課程に社会人枠で入学、「緊急時における土木行政による災害対応マネジメントの研究」に取り組み、2023年9月、博士(工学)の学位を授与される。2024年3月に定年退職後、和歌山市に本社を置く株式会社豊工業所で技術顧問として勤務する傍ら、宇都宮大学と和歌山大学で客員教授として研究を継続している。 |
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