タンゴ 新装版

舳松 伸男(著)

ISBN978-4-86249-334-7
日本有数のバンドネオン・ディアトニコ奏者であった著者が、タンゴのルーツをたどり、その演奏に欠かすことのできない楽器、バンドネオン・ディアトニコの歴史・構造・特徴を徹底的に追求した労作。バンドネオンのボタンと音符
の対照図を付す。
アフリカの踊り、キューバのリズム、イベリア半島のメロディが、南米で出合い、ブエノス・アイレスで一つに育った。それがタンゴです。
タンゴ 新装版
歴史とバンドネオン

 舳松 伸男(著)
A5判 233ページ 並製
定価
(本体2,400円+税 )
ISBN978-4-86249-334-7
 2018年 6 月 刊行
 
■主要目次
第Ⅰ部 タンゴ―謎と奇蹟の舞曲
 1 ラプラタ植民地とアルゼンチンの歴史
  黒いマリアの像
  アルゼンチン前史
   ポルトガルのアフリカ征服/コロンの新大陸発見/トルデシージャ条約
  ラプラタ植民地の先住民とスペイン人
   ラプラタ河の発見/スペイン人の新大陸征服/新大陸の先住民族/先住民族とタンゴの関係
  ブエノス・アイレスの建設
   征服者の派遣と植民/スペイン版金比羅の港/ブエン・アイレの聖母はイタリア出身/草原の馬の大群は十二頭から
  ラプラタ植民地の独立
   ブエノス・アイレスの再建/アルゼンチンへの経路/牛馬の姿のない壁画/ラプラタ植民地の独立
 2 「タンゴ」の語源とその意味の変遷
  タンゴとタンボ、タンボール
   タンゴという言葉はどこから来たか/タンゴをタンボと間違えたスペインの役人
  タンゴマオと呼ばれた人たち
   奴隷売買の案内人/タンゴマオはサントメの住民/ラテン語とポルトガル語の関係
  「タンゴ」という言葉の変遷
   禁断の地「タンゴ」/「タンゴ」で売られた黒人奴隷
  ラプラタ地方の黒人たち
   家事労働、育児を分担/黒人の踊り、カンドンベ/クリオージョという言葉モンセラー街の誕生
   バルセローナのモンセラー教会/ブエノス・アイレスにもモンセラー教会が出現/カンドンベを生んだ所
 3 ミロンガからタンゴへ
  カンドンベ・クリオージョの誕生
   ラサ・アフリカーナ楽団/兵営からも生まれた/チーナの部屋(クワルトス・デ・チーナス)/カンドンベはモンテからブエノスへ/白人のカンドンベ楽団「ロス・ルウボロス」
  ヨーロッパと新大陸を行き来した舞曲
   ベニスの踊りがアンチル諸島へ/ヨーロッパのタンゴ・アンダルース/パジャーダーのグワヒーラ
  黒人の歌と踊り「ミロンガ」
   ブラジルの黒人奴隷の言葉/チーナの部屋で生まれたミロンガ/二つのハバネラ/リズムの変化
  モンテビデオのラ・アカデミア「コム・イル・フォー」(うまくやれよ)/ラ・アカデミアの内部/コルテとケブラーダ/異説・ひやかしの踊りミロンガ/コルテとケブラーダ、地方に広がる
  ラ・アカデミアのミロンガ
   歌のミロンガから踊りのミロンガへ/ラ・アカデミアの女性たち/チークダンスのはじまり
  舞曲ミロンガの成熟
   ブエノスのラ・アカデミア/ミロンガの試合/ミロンガを完成させた三つの要素/タンゴの元祖・ミロンガ/「ラ・クンパルシータ」のモデル/男性の踊りタンゴ/タンゴは町の踊り/ペリングンデイネス(ダンスホール)
 4 クリオージョ・タンゴの誕生
  娼婦とイタリア移民
   オリジエーロ・ネグロの減少/出発は三部形式のソナタ/売春宿と音楽/高級売春宿から名曲が生まれた/イタリア移民とコンベンティージョ/ブエノス・アイレス市の近代化
  初期のタンゴ
   最初のアルゼンチンタンゴは?/ピアノ用タンゴの発表/タンゴ・バルトロの謎/初期の曲に盗作の被害が続出/ピアノ用タンゴの普及/活躍したクリオージョの作曲家
  タンゴを育てた町
   発祥はモンテ、育てたのはブエノス/歌詞からもブエノスに軍配/ブエノスでタンゴの踊りのレッスンが流行
  タンゴ、欧州へ
   黒人たちのものを白い手がヨーロッパへ紹介/一九〇〇年初期のタンゴ/オルケスタ・ティピカとは/バンドネオンが音楽の性質を変えた/ゴビの演奏活動
  ブエノスのタンゴは、ロス・コラーレス・ビエホから
   混血の舞曲/孤独にみちた草原のフォルクローレ/草原の家畜が集まる所/タンゴの仕上げはイタリア移民/タンゴと歌との関係/完成品はコンチネンタルタンゴ
 5 タンゴの奇蹟
  ヨーロッパ人のアルゼンチン観
  パリ発・タンゴブーム
   花のパリとアルゼンチンタンゴ/タンゴ服の流行/タンゴの道徳性の是非/パリ駐在アルゼンチン大使の声明
  各国の反応
   ローマ法王タンゴを見る/ドイツの場合/オーストリアの禁止令/北米ではタンゴで裁判/社交ダンスのタンゴはイギリス生まれ
  フランシスコ・カナロの登場

第Ⅱ部 バンドネオン
 1 バンドネオン・ディアトニコという楽器
  二つのバンドネオン
   一つの名称に二種類の奏法!?/アクセサリーとして使用されたバンドネオン/クロマティコとディアトニコ
  複雑な構造をもつバンドネオン
   外部の構造/内部の構造/バンドネオン・クロマティコの音階/複雑な音階配列のバンドネオン・ディアトニコ
  アルゼンチンタンゴの特徴
   バンドネオンの演奏方法/表現テクニックの違い
 2 バンドネオン・ディアトニコの誕生と発達
  バンドネオン生まれる
   名前の由来と誕生地/傷みやすい蛇腹/カーニバル用に作られた初期のバンドネオンとその量産楽器のボタンは32個から/アルノルドによる量産の開始/アルノルドだけが造ったわけではなかった
  アルゼンチンのバンドネオン
   最初にもたらした人は?/バンドネオン以前の楽器/ハーモニカとオルガニートバンドネオンの地位の確率
   最初は他の楽器の物まね/バンドネオン演奏の先駆者たち/バンドネオンがレコードに登場/多彩なバンドネオンの音色
  バンドネオン・ディアトニコの発展と亜流
   バンドネオンの兄弟たち/新形式のバンドネオン登場か?/ブラジルのバンドネオン
 3 日本のバンドネオンのパイオニアたち
  バンドネオン私史
   アルゼンチン人から見た「日本のタンゴ史」/バンドネオンとの出合い/バンドネオン・ディアトニコを入手/弾いているふりから出発/アルゼンチンでは、バンドネオン・ディアトニコだとわかった日
  日本のバンドネオン奏者
   戦前のバンドネオンのスターたち/一九三八年のタンゴ楽団の実情/「オルケスタ・ティピカ・東京」の影響
  バンドネオン・ディアトニコの魅力
   日本固有のバン・ディア、バン・クロ混成楽団/タンゴ技術向上のために/フォルクローレ的色彩をもつバンドネオン・ディアトニコの魅力

  1938年春季ダンスバンド名簿   1938年現在のダンス・ホール

 
参考資料
舳松 伸男 (ヘノマツ ノブオ) (著)
1930(昭和5)年7月大阪市に生まれる。54年大阪市立医科大学卒業。1960年大阪市内にて内科医院を開業。1966年タンゴ楽団「ロス・アセス・デ・オーサカ」を結成し、リーダーとして活躍した。
日本を代表するバンドネオン・ディアトニコ奏者。1989年10月有志とともにタンゴ楽団「ポナリア」を編成した。
2018年3月逝去。
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