法華経〈仏滅後〉の思想
苅谷 定彦[著]

ISBN978-4-86249-150-3

法華経〈仏滅後〉の思想
    法華経の解明Ⅱ
        苅谷 定彦[著]
独自の新しい視点からサンスクリット原典を精読し、『法華経』本来の姿を提示する画期的研究書。大乗仏教の主流たる般若経「空」思想に真っ向から立ち向かい、真の仏教とは何かを主張したインドにおける法華経の姿を明らかにする。
                      苅谷 定彦[著](種智院大学名誉教授/法華学園・興隆学林専門学校名誉教授)
法華経〈仏滅後〉の思想
苅谷 定彦[著]
A5判・上製・凾入・740頁
定価 本体16,000円+ 税
ISBN978-4-86249-150-3
 2009年12月刊行
凡 例

序論 『法華経』前史、『法華経』の〈仏乗〉思想
 
第1章
 『法華経』研究の視点
  (1)『法華経』の研究方法
  (2)『法華経』作者の創作意図
  (3)『法華経』出現の光景
 
第2章
 『法華経』に至る仏教の展開
 
  第1節 インド仏教の基本的性格
  (1)出家の宗教としての仏教/(2)出家とは何か/(3)「業による輪廻・転生」思想/(4)世俗社会の宗教と出家の宗教

  第2節 初期仏教から大乗仏教へ
  (1)大乗仏教の起源/(2)仏教における在家者の位置/(3)仏塔信仰/(4)‘bodhisattva’観念の出現

  第3節 大乗仏教の興起
  (1)ボサツから菩薩(菩提を求める有情)へ/(2)〈仏滅後〉観の出現/(3)『阿弥陀経』の思想
  (4)『般若経』の思想
 
第3章
 〈仏乗〉思想(『法華経』前半部)̶̶再考
 はじめに

 第1節 「序品」の思想̶̶再説

 第2節 「方便品」の思想̶̶再考
 〔1〕第一段(長行・偈頌)の再考
  (1)仏智と三乗の教説/(2)「仏の意図に基づく所説」(随自意の説)説示の示唆/(3)第一段偈頌の再説
 〔2〕〈仏乗〉の思想̶̶再考
  (1)舎利弗の説法三請/(2)仏出現の唯一任務̶̶〈仏乗〉の説示/(3)〈仏乗〉の思想/(4)三世十方諸仏の同道/
  (5)長行に存する「後分」(後代の異質の付加・挿入部分)
 〔3〕最終段偈頌の思想̶̶再考
  (1)三乗の説示から〈仏乗〉の開顕へ/(2)過去仏段̶̶偈〔71〕から〔97〕(3)未来仏段̶̶偈〔101〕から〔102〕/
  (4)現在諸仏段̶̶偈〔104〕から〔107〕/(5)釈迦仏段̶̶偈〔108〕から〔134〕
 〔4〕〈仏乗〉の構造̶̶「方便品」のまとめ

 第3節 「譬喩品」、「信解品」の思想̶̶再考
 〔1〕「譬喩品」の思想
  (1)舎利弗の成仏宣言/(2)三車火宅の喩̶̶再説/(3)〈巧みな教化方法〉をめぐる一段の異質性
 〔2〕「信解品」の思想
  (1)長者窮子喩̶̶『法華経』と『大法鼓経』

 第4節 「宿世因縁品」の思想̶̶再考
  (1)「薬草喩品」の解体̶̶「宿世因縁品」前文の復元/(2)「宿世因縁品」の思想

 第5節 後分としての「授記品」、「五百弟子受記品」、「授学無学人記品」
  (1)「授記品」の異質性/(2)後分としての「五百弟子受記品」/(3)後分としての「授学無学人記品」/
  (4)「声聞授記」の付加̶̶大乗・菩薩乗からの反発

本論〈仏滅後〉の思想̶̶『法華経』後半部の解明
 
第1章
 「法師品」の思想

  第1節 〈仏乗〉の聞・信によるぼさつの自覚と授記
  (1)〈仏在世時〉の衆生に対する授記̶̶前半部の総括/(2)〈仏滅後〉の衆生への授記/(3)法師̶̶〈仏滅後〉の
 『法華経』唱導者/(4)書写と経巻供養/(5)法師に対する礼拝・供養

  第2節 〈仏滅後〉の衆生のぼさつ行
  (1)法師の備える特性/(2)仏塔̶̶『法華経』唱導場の標示/(3)成仏道における『法華経』聴聞の不可欠性/
  (4)「如来の衣・座・室」の異質性/(5)法師に対する仏の加護/(6)初期大乗諸経典における唱導/(7)ぼさつ行とし
   ての『法華経』の唱導
 
第2章 「見宝塔品」の思想

  第1節 多宝仏塔の湧出
  (1)大仏塔の湧出̶̶「法師品」所説のリアル化/(2)大仏塔湧出の由縁̶̶「法師品」の証拠付け/(3)『妙法華』の
  「仏塔湧出の由縁」̶̶羅什の改変

  第2節 多宝仏塔を舞台に展開する諸事象とその意義
  (1)仏塔切り裂きのための十方現在諸仏の招集/(2)十方現在諸仏を「化作されたもの」とする意味/(3)十方現在諸仏
   の参集とその仏塔切り裂きの承諾/(4)仏塔の切り裂きと塔中の多宝如来の姿 /(5)多宝如来の讃辞̶̶『法華経』の
   真理表現 /(6)二仏並坐、会座の中空への移動、〈仏滅後〉の法師募集と委託

  第3節 『法華経』における仏塔の位置
   (1)〈仏滅後〉を表示する仏塔/(2)仏塔信仰と『法華経』
 
第3章 「従地湧出品」の思想

  第1節 「勧持品」、「安楽行品」の検討
  (1)「勧持品」の考察/(2)「安楽行品」の異質性

  第2節 「従地湧出品」の思想
  (1)〈仏滅後〉における真の『法華経』唱導者の出現/(2)弥勒の問い̶̶誰が地湧ぼさつを教化したか/(3)釈尊の答え
   ̶̶教化の主は“釈尊自身”/(4)弥勒のさらなる問い̶̶釈尊の衆生教化の働きについて/(5)黒髪の青年を父とし、自
   髪の老人をその息子とする譬えの問題点
 
第4章 「如来寿量品」の思想

  第1節 「序品」から示されてきた仏のあり様
  (1)仏̶̶世に出現しては、必ず入滅するもの/(2)〈仏滅後〉(仏不在の時代)の存在

  第2節 「如来寿量品」の思想
  (1)今仏釈尊のはるか過去における成道/(2)過去の無量諸仏̶̶釈尊の化作(nirmita)/(3)諸仏の出現、説法̶̶仏
   のいのちの発現/(4)釈尊のもつ無量の寿命の量とは/(5)なぜ仏は入滅するか̶̶仏入滅の真相/(6)譬え話̶̶父
   の死と、子の悲嘆による倒の消滅/(7)偈頌段の思想̶̶〈仏滅後〉の衆生、信仰世界での釈尊との出会いと“正法”聴聞
 
第5章 「常不軽菩薩品」の思想

  第1節 後分としての「分別功徳品」、「随喜功徳品」、「法師功徳品」
  (1)「分別功徳品」の検討/(2)「随喜功徳品」/(3)「法師功徳品」

  第2節 「常不軽菩薩品」の思想
  (1)‘Sadparibhta’(常不軽)という名前/(2)常不軽菩薩の“呼びかけ”/(3)“呼びかけ”の根底にあるもの/(4)常
   不軽菩薩の空中よりの『法華経』聴聞/(5)常不軽菩薩、その後の『法華経』唱導

  第3節 四衆の堕獄説話の異質性
 
第6章
 「如来神力品」の思想

  第1節 「如来神力品」の思想
  (1)地涌ぼさつへの『法華経』委嘱/(2)如来たちの神力の演出/(3)「神力示現」に関する漢訳の問題点 /(4)地
   涌ぼさつへの最後の訓示/(5)偈頌段の考察7
  〔付〕「嘱累品」について

結論『法華経』̶̶〈仏滅後〉の衆生のための経
 〔Ⅰ〕『法華経』に至る仏教の展開
  〔1〕仏教の基本的性格
  〔2〕大乗仏教の起源
   (1)‘bodhisattva’観念の成立/(2)最初期の大乗経典̶̶『龍施女経』等の登場/(3)〈仏滅後〉観の出現
  〔3〕初期大乗仏教の興起
   (1)『阿弥陀経』の出現/(2)『般若経』の出現
 〔Ⅱ〕『法華経』の思想
  〔1〕『法華経』作者とその創作意図
  〔2〕『法華経』の構成
  〔3〕『法華経』の思想
   (1)〈仏乗〉の思想̶̶『法華経』前半部の解明/(2)〈仏滅後〉の思想̶̶『法華経』後半部の解明
 〔Ⅲ〕最後に̶̶『法華経』のその後
  〔1〕『法華経』の変質
  〔2〕その後の大乗仏教に与えた影響
  
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